育児介護休業法 ①個別周知と意向確認
②雇用環境の整備③有期雇用労働者
こちらのページでは、2022年4月改正施行分の育児介護休業法の内容をご案内しております
2022年7月12日作成
①妊娠・出産の申し出をした労働者への個別周知と意向確認
企業は、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置が義務化されています。
その為、事業主としては、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、育児休業制度等に関する以下の事項の周知と育児休業の取得意向の確認を、その本人である労働者に対して個別に行わなければなりません。
この対応は2022年4月1日の法改正により求められる様になりました。
〇妊娠・出産の申し出を行った労働者への個別の周知①
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伝える相手 女性・男性 どちらも
※男性への対応は配偶者が妊娠や出産した場合となります
※配偶者には、事実婚の場合も対象となります
※以下の事実を事業主に申し出ることも、ここでの「申出」に当たります
・労働者が特別養子縁組に向けた監護期間にある子を養育していること、養育する意思を明示したこと
・労働者が養子縁組里親として委託されている子を養育していること、受託する意思を明示したこと
など
※日々雇用される者を除き、有期雇用労働者も個別周知・意向確認の対象となります
※子の年齢が育児休業の対象年齢を既に超えている場合等、育児休業を取得する可能性がない場合は、
育児休業の制度の対象とはならない旨の説明を行えばよく、意向確認は不要です
〇妊娠・出産の申し出をを行った労働者への個別の周知②
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伝える内容
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育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)に関する制度(制度の内容など)
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育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)の申出先(例:人事部など)
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育児休業給付に関すること(例:制度の内容など)
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労働者が育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)期間に負担すべき 社会保険料の取扱い
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伝える方法
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面談(オンライン面談もOK)
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書面の交付
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FAX
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電子メール等
※3のFAXと4の電子メール等は労働者が希望した場合に限り可能となります
※電子メール等による場合は、労働者と事業主が送信する情報を出力して書面を作成できるものに限ります。また、電子メール等には、例えば、イントラネット(企業内LAN)、webメール(Gmail等)、SNS(LINE、Facebook、メッセンジャー等)が含まれます。
ポイント 出生時育児休業(産後パパ育休)とは、2022年10月より始まる新しい制度です
〇妊娠・出産の申し出を行った労働者への個別の周知③
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伝える時期 適切な時期
労働者が希望の日から円滑に育児休業を取得することができるように配慮し、適切な時期に実施することが
必要です。具体的には次の通りです。
労働者からの申出のタイミング 事業主からの周知・意向確認の実施時期
出産予定日の1か月半以上前の申出 出産予定日の1か月前まで
出産予定日の1か月半前から1か月前の間の申出 申出から2週間以内など、できる限り早い時期
出産予定日の1か月前から2週間前の間の申出 申出から1週間以内など、できる限り早い時期
出産予定日の2週間前以降や、子の出生後の申出 できる限り速やかに
②育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の措置
企業は、従業員から、育児休業と出生時育児休業(産後パパ育休)の申出が円滑に行われるようにするため、事業主としていずれかの措置を講じる事が義務化されています。
この対応は2022年4月1日の法改正により求められる様になりました。
〇事業主が講ずべき育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の措置 その1
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研修の実施
育児休業・産後パパ育休に関する「研修」を実施する事です
全労働者を対象に、育児休業などの制度の概要を伝える機会を設けるものです。全労働者を対象とする事がが望ましいですが、少なくとも管理職は、研修を受けたことがある状態にしてください。
〇事業主が講ずべき育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の措置 その2
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相談体制の整備
育児休業・産後パパ育休に関する「相談体制の整備」を実施する事です(相談窓口設置)
相談窓口の設置や相談対応者を置き、これを周知することを意味します。窓口を形式的に設けるだけでなく、
実質的な対応が可能な窓口を設けてください。また、労働者に対する窓口の周知等を行い、労働者が利用しや
すい体制を整備してください。
実質的に相談に対応できる体制を整えていれば、必ずしも物理的な窓口設置に限られずメールアドレスやURLを定めて相談窓口として周知する方法も可能です。
また、社内に限らず、社外の者が相談を受ける事も認められています。
〇事業主が講ずべき育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の措置 その3
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取得事例の収集と提供
自社の労働者の育児休業・産後パパ育休について「取得事例の収集・提供」を実施する事で鵜s
自社の育児休業の取得事例を収集し、これらの事例を掲した書類の配付やイントラネットへの掲載等を行い、労働者が閲覧できるようにすることを意味します。
提供する取得事例が特定の性別や職種、雇用形態等に偏らないよう可能な限り様々な労働者の事例を収集・提供し、特定の者の育児休業の申出を控えさせることに繋がらないように配慮してください。
〇事業主が講ずべき育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の措置 その4
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方針の周知
自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と児休業取得促進に関する「方針の周知」をじっしする事です
育児休業に関する制度と育児休業の取得の促進に関する事業主の方針を記載したものを、事業所内やイントラネットへ掲示することを意味します。
ポイント 出生時育児休業(産後パパ育休)とは、2022年10月より始まる新しい制度です
育児休業が取得しづらい職場での雇用環境の整備
育児休業を取得する可能性の有る従業員がいない職場での雇用環境の整備
どの様な職場であっても、雇用環境の整備は求められます。整備の種類が複数からの選択制になっているのは、職場の状況に合わせて取り組む事ができる為です。
③有期雇用労働者が育児介護休業を取得しやすく
期間を定めて雇用される労働者(有期雇用労働者)の育児休業と介護休業の取得要件が緩和されました。
引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は、対象者から除く、という規定が削除されました。
改正前
【育児休業】
⑴引き続き雇用された期間が1年以上
⑵1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない事
【介護休業】
⑴引き続き雇用された期間が1年以上
⑵介護休業開始予定日から起算して、93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了する事が明らかでない事
改正後
【育児休業】
1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない事
【介護休業】
介護休業開始予定日から起算して、93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了する事が明らかでない事
育児休業の取得要件の「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」については、改正前から変更がなく、これまでと同様ですが、判断のポイントは以下のとおりです。(介護休業も同様です。)
◦育児休業の申出があった時点で、労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断されます。
◦事業主が「更新しない」旨の明示をしていない場合は、原則として「労働契約の更新がないことが確実」とは判断されません
【要件を満たさないケース】
.書面又は口頭で労働契約の更新回数の上限が明示されており、その上限まで契約が更新された場合の労働契
約の期間の末日が、子が1歳6か月に達する日までの間である
【要件を満たさないケース】
書面又は口頭で労働契約の更新をしない旨が明示されており、申出時点で締結している労働契約の期間の末
日が、子が1歳6か月に達する日までの間である
イオン社労士事務所にてサポート致します。
この度の育児介護休業法の改正への対応は、事業主様単体では、非常に困難であると想像できます。
労働者への個別通知には、書面を用いて行う事が多くなるでしょう。
書面での対応でしたら、内容に熟知していなくても、正しい制度を正確に伝えられます。
また、伝え漏れが発生することありません。
そして、労働者側にとりましても、後日、書面を見返すことにより、
改めて制度の内容を確認する事がいつでもできる様になります。
この様に書面での対応には、優れた点が多いです。
ただし、その書面の用意が必要となります。
また、雇用環境の整備への対応については、そのどれをとっても、専門的な知識が必須となります。
イオン社労士事務所では、全面的に企業へのサポートが可能です。
育児休業の個別周知のイオン社労士事務所作成のサンプル書面はこちらです
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※このファイルは、サンプルとなります。
企業へサポート時には、企業名の記載を行い、又、企業ごとに状況や環境などをお聞きし、ファイルの内容を適切に編集した上でご提供いたします。